英語学習

「英語で考える」とは?

2015.05.18

「英語で考える」とは?(その1)                                                               

「日本人が、英語で考えるなんて、そんなことできるのだろうか。」・・・(1)

「そもそも英語で考えるとはどういうことだろう。」・・・(2)

「どうしたらそんなことができるのか。」・・・(3)

 

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これから英語学習を始めようとしている人、またすでにかなり長く学習している人でも、きっと多くの人がもつ疑問だと思います。

 

まず(1)について。

 

「どんな人でも12歳を超えると、母国語以外の言葉はもはやネイテイブのようには発音できないし、それを使って考えることはできない。」という説があるそうです。しかし、結論を言わせてもらえば、私は「できる」と思います。

 

確かに、それは簡単ではないでしょうし、100%できるようになるには相当な時間と努力が必要でしょう。特に音は、日本語と英語ではかなり違うし、練習にかけられる時間が限られるので、ネイテイブのようになるのは相当むずかしいと思います。(私が教えていただいていた先生は100%近くできていらっしゃいましたが。) でも考える方は、目が覚めているときなら、いつでもどこでも自分一人で訓練できるので、本人の努力しだいで「できる」はずです。

 

しかし、すべての人が毎日英語を必要としているわけではないし、普通は日本語で生活しなければならないので、その人の目標の英語力によりそのレベルに応じて確かにできるようになれば、100%できなくても、それでいいのではないでしょうか。

 

ただ、そうであっても、やはり「英語で考える」ができるようになるためには、相当の覚悟とエネルギーと時間が必要です。とにかく一仕事です。それだけに、楽しさや感動も味わえますが。

 

study hard

 

私は、最近はやりの「聞き流すだけで…」とか、「3か月(または4か月)で話せるようになる」とかの英語学習はお勧めしません。目標によってはそれでもいいかもしれませんが、(たとえば、ネイテイブに何も言えなかった人が、とにかく話しかけることができるようになれば、それはそれですばらしいことだと思いますので。)でもやはり「使える英語」という観点からすると、自己満足に終わってしまって実際は大して使えないだろうと思います。

 

どんな状況であろうと、多少ブロークンになることがあろうと、確実に言いたいことが伝えられて、相手の言うことも、聞き返しながらでも、確実につかむことができる、つまりコミュニケーションができる、それこそが「使える英語」です。

 

このように話す私も、まだまだパーフェクトな英語には及ばないのですが、でも上記のことはできます。だから一人で海外での旅行も大学院留学もできたしマスターの学位も取得できたのです。こうなるまでには、文法や語彙ももちろん必要でした。が、決定的には「英語で考える」というメソッドに巡り合えたからでした。

 

私の留学時代の本やノートには日本語のメモ書きがほとんどありません。英語で書き込むか、たとえ英語でメモできなくとも、日本語で書くことだけはしないよう肝に銘じてきました。「英語で考える」を出来る限り実践したいと思ったので。だから日本に帰ってしばらくは(2012年10月帰国)、英語の単語はすぐにわかるのに、日本語が頭に浮かばず、困ったこともあります。(実は今でも、英単語の意味は知っているのに、日本語の訳がすぐに出てこないことがしばしばです。)

 

今回は、このメソッド「英語で考える」とはどういうことか…(2)と、(3)の「どうしたらできるか」については、早急にシンプルな答を提示せず、その前に、日本語で考えることを常に媒介とした英語のインプット・アウトプットの弊害について、お話ししたいと思います。(このような過程を踏むことによって、最後には多くの読者のみなさんが、必ずや「英語で考える」についての理解に近づいていただけると信じています。)

 

日本の英語教育の第一人者で「英語で考える」メソッドの提唱者だった故松本亨先生は、このことについて次のようにおっしゃっています。

「英文和訳の害は、知識(経験もふくめて)が、日本語で我々の頭に蓄積されるということである。」(「英語で考える本」/ 昭和62年7月 / p67)

 

全く同感です。(実は私自身は、松本先生の影響を直接受けたわけではなく、先生の影響下の方から学んだことを基に、自分の学習メソッドを開発してきました。ですから、先生の本も最近になって読み始めたのですが、今私が考えていることと同じようなことが、次から次へと出てくるので、とてもうれしく感激しています。)

 

   *   *   *   *

 

日本語で考えることの問題にはいろいろなケースがあります。会話例を見てください。(Nはネイテイブ、Jは日本人です。)

 

<ケースⅠ.文化の違いを考慮せず、日本語の発想を当てはめる>

① 結婚祝いの贈り物

N: I’m happy. Do you know why?

J:  Yes, I heard you are going to get married to a pretty girl before long. Congratulations!

N: Thank you.

J:  This is a trivial thing, but it’s a token of my sentiments. Please accept it.

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(Jは日本風に「つまらないものですが私の気持ちです。どうかお受け取りください。」を英訳したが、「つまらないもの」という謙遜した言い方は英語にはない。また、この場合は、a token of my sentimentsよりもっと直接的な表現の方がよい。I’m very happy to hear the news. This is (a present) for you.で十分。)

 

②「お茶を入れるわ。」

N:  Would you like a cup of green tea? I bought some nice green tea. I’ll make it.

J:  Oh, I’m sorry.

N:  Oh, why?  You love Japanese tea, don’t you?

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(Jは日本人同士のように「あら、すみませんね~。」といったつもり。でもNは、I’m sorry.といわれたので No, thanks.と解釈した。JはThank you.またはYes,please.というべきだった。)

 

③「奥さんがいないと…」

N:  My wife is now staying with her parents, because her father is ill.

J:  How long will she be away?

N:  Maybe around a couple of weeks.

J:  It must be inconvenient for you in many ways.

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(日本では、奥さんは便利グッズなのでしょうか??? 実際当たっている面があるとしても(ハハ)、ネイテイブには、失礼だと思われるか、ジョークだと思われるかでしょう。Jは「それはいろいろとお困りでしょう。」を訳したつもりなのですが。You have to do all housework by yourself. またはYou’ll miss her.などが適当。

 

英語を学ぶときは、文化や発想の違いも同時に学ぶべきということです。

 

<ケースⅡ.文法的な違いを無視または失念して、日本語の発想で対応>

①「はい、そうなんです。」

N:  Are you Chinese?

J:  No. I’m Japanese.

N:  I thought you were Chinese, because your Chinese is so good.

J:  No, I’m not.

N:  I see. You are not Chinese. 

J:  Yes. Yes.

(日本語では相手の言ったことに対して「はい」「いいえ」の判断をするが、英語では事実に対してyes/noの判断をする。だから、ここでは, No. No. と言うべき。)

 

② 「アメリカ人はいないの?」

J:  I wonder how many Americans stay in our city.

N:  Why do you want to know it?

J:  I see many Americans here these days.

N:  I don’t think so. I’m from Canada, and not all Westerners here are Americans.

J:  Really? No Americans here ? Unbelievable!

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 ( not all~は、日本語に当てはめると「この辺のすべての西洋人はアメリカ人ではない。」という全否定に思えるが、実際の意味は「すべての~が~なわけではない。」という部分否定。 *ただし、現代英語では、All Westerners here are not Americans.のようにnot がallから離れて後に来る場合は全否定になるとされている。

 

これは英文法を復習するしかありません。聞き流すだけで理解できることでしょうか。

 

<ケースⅢ.日本語流の理解による単語の使い方の間違い>

①「疑わしいと思う。」

J:  Did you watch the news about that case on TV?

N:  That murder? Yes. A woman is a key suspect.

J:  I don’t think she killed the victim. I guess her brother did.

N:  Why do you think so?

J:  Because he has a motive and no alibi, I doubt he is guilty.

N:  Do you think he is guilty or not guilty?

(I doubt~ は,「~であることは疑わしいと思う」、つまり「guilty(有罪である)とは思わない」の意で、前半の「彼は、動機があるしアリバイがない」と矛盾する。「~ではないかと疑わしく思う」の意味にするにはI suspect he is guilty.とするべき。)

 

② 「黒い瞳」

J:  You’ve got a Japanese girlfriend. How nice is she?

N:  Well, first of all, she is warm-hearted. Second, she has a sense of humor. Third she is a good cook.

 

J:  And she is beautiful?

N:  Yes, absolutely.

J:  Does she have long hair and black eyes?

N:  No, no. She has long hair and dark eyes.

(「黒い瞳」は英語ではdark eyesで、 black eye はなぐられたときなどにできる目のまわりのあざを言う。日本語訳をそのまま使って英作文することは、このように変な英語になる危険性があるということ。 ただしこれに関しては、あるネイテイブの方からは、「’black eyes’とあれば両眼だから眼の色のことと分かるため、acceptable(OK)である。」とのご意見もいただきましたが。)

 

③「まごつく」

N:  Hi, what’s up?

J:  I’m exciting. My Australian pen pal is coming to see me next month.

N:  Good. You’ll have lots of time to speak English with him.

J:  Yes, but I have a problem. We have been contacting by email for a long time. And I’m sometimes confusing because his sentences have unfamiliar words, maybe, Australian slang expressions.

N:  I see. You are excited about his visit but you are confused by his slang expressions, so you want me to help you, right?

J:  Yes, please.

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(この場合、excite は「興奮させる」、confuse は「混乱させる」という他動詞なので、人が「わくわくしている」「まごついている」は be exited, be confused と受動態で表す。非人称の主語にすればHis visit is exciting. His slang expressions are confusing.と形容詞的な表現をとり、訳は逆に、「わくわくさせる」「まごつかせる」となる。

 

単語の語法を正しく学ぶには、単語の日本語訳を記憶するにとどめず、できるだけ例文のまま頭に入れます。またそのとき、その例文の日本語訳を絶対化しないことです。

 

<ケースⅣ.カタカナEnglish(和製英語) を無自覚に英単語として使う>

この例は枚挙にいとまがないので、会話の例文は省略。

 

  和製英語        正しい英語

ハンドル      → steering wheel

ナンバープレート  →  license plate

コンセント     → (wall) outlet (米) 又は(wall) socket(英)

シュークリーム     →  cream puff      * shoe creamは「靴みがきクリーム」。

ハートフル         →   heart-warmingかheartfeltが近いかも。

アルバイト         →  part-time job (temporary job)

アフターサービス  →  aftersales service

ケースバイケース   →  on a case-by-case basis  * case by case は「1件ずつ」の意。

 

以上は認識を変えるのがむずかしくない例だが、次は日本語に浸透しすぎていて害が深刻な例。

クレームをつける  → complain about~「苦情を言う」          

       *名詞はcomplaint。この場合の「クレーム」は完全に日本語。claimは別の意味。

ナイーブ       →  sensitive     *naïveは「うぶな」「世間しらずな」の意。

(英検受験に)チャレンジする。  →try to take EPST

 

対策としては、とにかくカタカナ英語は要注意。正しい知識を構築するのみ。

 

 

To be continued.(その2・その3をお楽しみに。)

 

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「英語で考える」とは?(その2)                   2015/6/3

 

前回(その1)では、私たち大人でも、「英語で考える」ことは訓練しだいで可能だということと、日本語で考えることを常に媒介とした英語のインプット・アウトプットの弊害についてお話しました。

 

では、「英語で考える」とはそもそもどういうことなのでしょうか。一言で言えば、それは、英語を使うときは、日本語の意味を使わないということです。では何を使うか?もちろん英語の意味です。「英語」→「日本語」と「日本語」→「英語」の脳の運動ではなく、「英語」→「英語」ということです。

 

しかし、私たち日本人がはじめからそんなことができるわけはないので、どのような段階を経てそうなっていくかを見てみましょう。

 

日本語にしろ英語にしろ、幼児がどのように言葉を発展させていくかを考えれば、私たち大人も同じプロセスをたどればいいはずだという言う人もいますが、幸か不幸か、私たちはすでに日本人の大人としての知性や人間性を身につけてしまっています。完全な幼児に戻ってやり直すことはできません。しかも、英語については、従来の学校教育のせいで、簡単な発信もできないのに、むずかしい構文や単語をたくさん日本語で覚えさせられています。すでにあるものを今更ないことにはできません。

 

そこで、ここでは12歳までの子供や、海外で育った人は度外視して、普通に日本の中学校で教科書を中心に英語を勉強してきた人(大体高校生以上)を前提に話を進めます。

 

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まず、インプット(読む・聞く)の場合

 

誰でもはじめは、単語の意味をできるだけ近い日本語に当てはめて理解します。特に日本では、和訳が中心の英語教育なので、名詞も動詞もそうします。文章になってくると、さすがに日本語にした個々の単語の寄せ集めでは、きちんとした日本語にならなかったり元々の意味からずれたりすることがあると気付きます。その場合は、直訳ではなく意訳という手段を学ぶのですが、いずれにしろ日本語で頭に取り込みます。(注1)

 

注1

これについて、たとえば、Can I help you? を「私はあなたを助けることができますか。」では

なく、「いらっしゃいませ。」というように訳すことは状況によっては適切でしょう。でも、これを絶

対化して覚えていると、たとえば道端で困っているような人に声をかけるとき、Can I help you? は

出てこないかもしれません。良い通訳や翻訳としては、この状況はCan I help you? =「何かお役に立

てますか。」でしょう。(この紙面では、英語で考えて英語を使うことに話の焦点を合わせていますので、

上級者にとっても次の段階であるこういう翻訳技術の話は、割愛します。)ここで言いたいことは、ど

うやっても、ある英文がある日本語文に1対1的に呼応して、過不足なく完結するようなことはほと

んどないということです。ですから、英文と日本語文をセットにして記憶させるような学習方法は、

目的を近いところに限定した便宜主義であり、もし将来的に本当に英語力を向上させたいと思うなら

ば勧められないということです。(英語学習者の中には、たとえば、「とりあえず海外旅行に困らない

程度に。」という目標の人もいるでしょうから、その場合にはそういう現実的なインスタント学習も、「とりあ

えずは」良いかもしれませんが。)

 

たとえば、makeは、はじめは「作る」と習いますがI make her happy. のときは、「私は彼女を幸せな状態に作る。」とはしないで、「幸せにする」の「する」のように。また、We make a pair. のときには、「私たちは二人一組になる。」と、今度は、「なる」のように、意味を拡大または変化させます。こういうことを学ぶようになると、英語のmake の本質的イメージが少しずつわかってくるので、何度も何度も接するうちに、make の字面(じづら)を見たら、または音を聞いたら、日本語のどの意味になるかあまり考えず、少なくとも、日本語にきちんと当てはめなくとも、前後の単語から何となく意味がわかってくるのです。頭への取り込みも蓄積もこのイメージで行うようになります。これが、英語で考え始めるということです。

 

これは今言ったように、前後の単語といっしょに理解することによってしかできないことなので、日本語で理解しているこま切れの単語の寄せ集めではなく、文章のまま理解する必要があります。当然、英語の語順や時制など基本的な文法の理解が同時に伴っていかないとできることではありません。これらのことが強く意識され始めると、この後の学習の仕方が決定的に変わってくるはずです。「英語で考える」ためには、とにかく多くの基本単語の意味を知り、英文を多読することが必要でしょう。一朝一夕にできることではありません。

 

また、私たちの多くはすでに日本語でたくさん単語や成句を覚えているので、はじめは日本語の訳がすぐ頭に浮かび、実際それがしばしば理解を早めるという逆説的な現実も確かにあるので、日本語を止めるどころか逆に語彙力に頼りたくもなります。でも、イメージだけで理解ことが断続的であれできてくると、英語の語順にも慣れ、文頭から意味のまとまりごとに頭に入ってきます。英語独特のリズムにも音楽のような楽しさを覚え、速読もどんどんできるようになります。こうなると、もはや日本語は必ずしも必要ではなくなってきており、(むしろわずらわしいものになったりして、)その分理解の時間が大幅に縮小します。これは特に、会話にはとても重要なことです。第一、そうでないと間に合いません。

 

これこそが、「英語で考える」ということです。具体的な学習の仕方についてはその3で説明します。一つだけお話しますと、それまで日本語で蓄積したものはどうするのかという問題があります。が、それはけしてむだにはなりません。むだにしない方法があります。そこにとどまる、または、絶対的に頼ることが、その後の英語力向上つまり「英語で考える」メソッドを習得していく上で、また「本当の英語力」を身につける上で害になるのです。

 

以上、インプットの場合は、「英語で考える」とは、日本語の意味を使わずにイメージで理解し頭に取り入れる、ということでした。ではアウトプットの場合はどうでしょう。

 

アウトプット(話す・書く)の場合

 

アウトプットの場合は、すでに英語のまま頭に取り入れてある単語や文を使って発信するということです。もし、日本語でしか表現できないことにゆきあたっても、むずかしい構文や語彙についてはひとまず頭の押入れに片付けて、makeのような多機能動詞やin/out/のような前置詞・副詞を結合して使いこなすことにより、目の前にあるものや自分の動作・行動をとにかく英語で表現することができるようになります。(注2)

 

注2

多機能動詞はmake のほか他にも、give/take/go/come/put/have/do/keep/putなどがあります。

また、これらと結びついて様々な意味を表現できる前置詞や副詞とは、

on/at/to/for/through/along/under/above/over/with/without/by/up/downなどです。

これらシンプルで多機能の単語を中心とした全部で850語から成る英語は、Basic Englishと

呼ばれ、イギリスの心理学者・言語学者であるC.K.オグデンが編み出したもので、英語と

いう言語を、イメージで理解したり表現したりするのにとても有益です。一度は学習してみたい

ものです。

 

 このような訓練の積み重ねで英語らしい発想や表現が理解できてくると、一般の動詞もイメージで理解しコロケーションも意識されてくるので、正しく使用できる動詞が大幅に増えます。コロケーションとは、たとえば日本語でも、「帽子を」「かぶる」と言って、「はく」とか「着る」とか言わないように、英語でも、「スピーチをする」は、do a speech やtake a speech とは言わず、 make a speechまたは give a speechと言う、というようなことです。

 

また、むずかしい単語や事柄について自分が使える英語での言い換えで説明できるようになります。この言い換えがparaphraseと言って、英語で考える上でとても重要です。

実は、Paraphraseが次から次へとできること、これが「英語で考える」ことの正体とも言えます。

 

これができてくると、今度こそ頭の押入れにしまってあった語彙が大活躍する番となります。日本語で理解していた単語が、今や他の英語で説明できるか、できないとしても意味がイメージで理解できるので、日本語に頼る余地はうんと減ります。もちろん、これは、やさしい説明からむずかしい単語へという逆の方向への言い換えも含みます。

 

ライテイングについて言えば、今や長文の要約も英語ででき、全体を全く異なる語彙や構文で書き直すこともできます。(ライテイングの過程は時間的に余裕があるために、どうしても日本語での思考も英語のそれと混在することが避けられません。が、訓練が進むうちに加速度的に、英語が主・日本語は補助という思考モードになり、英語の世界に浸かれば浸かるほど、もはや日本語を思い浮かべるのがわずらわしくなり、遂には追放したくなってきたりするのです。)

 

このように、次から次へとひとつのもの・事柄にいろいろな英語の表現が生まれてきます。まさに「英語」から「英語」へ様々に、つまり「英語で考えて英語で発信する」ができるのです。

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To be continued. (その3をお楽しみに。)

 

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「英語で考える」とは?(その3)                             2015/6/7

 

(その2)では、「英語で考える」とは、日本語を用いず言葉をイメージで理解し英文のまま取り込み、それを用いて様々に発信することでした。

(その3)では、ではどうしたら「英語で考える」ことができるのか、具体的にどういう学習を積み重ねていくのかについてお話します。

 

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英語で発信するためには、あらかじめ膨大な単語が頭に蓄積されていることや基本的な文法力が備わっていることが望ましいのですが、そううまくはいきません。人によっては、中学生程度の文法もおぼつかないとか、語彙が極端に少ないとか、逆に、受験勉強などで相当な語彙力があっても日本語で覚えたこま切れの知識の集大成のため、コロケーションなどを知らず適切な言葉の使い方ができないということがあります。ですから、①苦手な面の重点的学習もするに越したことはありません。

 

けれども、人はいろいろなことを同時にやっていって、知識や経験をらせん的に発展させるものなので、一番良い方法は、①をやりながらでも、「そんなことはすでに知っている。できる。」と思うような②簡単な単語や短い文の取り込み・発信からやり直すことです。次は、大人としての自分の知性や興味をひとまずは前面に出すことを控え、子供のように無心になり、③身の回りにあるものや自分の毎日の動作・行動が英語で言えるようにします。(このとき、わからない単語については辞書をひいてもかまいませんが、英和と和英の双方向チェックと、英英辞典の活用もできるかぎりしたいものです。)これは④心の中で独り言のようにやれば、いくらでも練習できます。

 

これをスムーズに行うため、一方で、⑤ネイテイブが書いた信頼できるしかも難しくない文章をたくさん読んでおきます。このことにより、日本語で考えた変な英語ではなく、無意識のうちに頭に蓄積されていく英語の成句や文を脳がどんどん活用してくれるのです。

 

英文の読み方は、⑥日本語に変換する余裕がない程度の速読で、文頭から、意味のまとまりごとに、理解します。しかも、1度読んだだけで、どこが文の中心か、つまり主文の主部(S)と述部(V)かがわかる程度の理解度である必要があります。もしこれができないなら、文の難易度を下げるか、文法の復習が必要かもしれません。

 

主文の主部(S)と述部(V)がすぐわかれば疑問文が作れるので、⑦自問自答の訓練をします。これは電車の中でもごはんを食べながらでも、一人でできます。もし練習相手がいれば、⑧相手の言ったことを(心の中でだけでもいいので)オウム返しすることが良い練習になります。これは、相手の英語を日本語で考える余地を自分に与えないだけでなく、英文を英文のまましっかり理解し取り込み、取り込む過程で、主部(S)と述部(V)を押さえることによって、次に会話を続けるための疑問文を作る準備が可能となるのです。つまり、会話がすばやくできていくのです。

 

オウム返しの練習例を挙げます。AがBの練習相手をしています。( )の中は心の中の声であってもOKです。

 

A: I played tennis with Takashi in the park yesterday.

B: (You played tennis with Takashi yesterday.) Oh, did you play tennis? Good. Who is Takashi?

A: He’s one of my sons.

B: (You played tennis with one of your sons Takashi.) I remember you have two sons. Which son did you play with?

A: The younger one.

B: (You played tennis with your younger son Takashi.) What’s the name of your elder one?

A: Hiroshi. He wanted to play tennis with us at first, but he didn’t join us.

B: (The elder son Hiroshi wanted to play with you, but he didn’t join you.) Why didn’t he join you?

A: He couldn’t because he had to prepare for an exam yesterday.

B: (He couldn’t because he had to prepare for an exam.) I see. Where did you play tennis?

A: In the park.

B: (You played tennis in the park.) Is the park near West Station?

A: Yes, it’s quite near the station.

B: (It’s quite near West Station.) So, it’s near your apartment too, isn’t it? 

A: No, it isn’t. It’s a little bit far.

B: (It’s a little bit far from your apartment.) How far is it?

 

このように中学程度の英語で、延々と会話ができるように練習をします。この練習を、「子供っぽい。」「つまらない。」と思う人は、はっきり言って、会話はできるようになりません。これくらいの会話がスラスラとできないのに、日本語で考えたことを一生懸命英作文して高度な内容を発表することができても、ネイテイブとコミュニケーションすることはむずかしいでしょう。(注3)

 

注3:

ここで読者の中には、「練習相手の私(I)は、自分にとってはあなた(you)になるので、純粋に繰り返す

ことはできない。オウム返しとは言えないのでは。」と思われた方もいると思います。そうなのです。実は

この点が、結構やってみるとむずかしい点で、だからこそ練習の必要があるのです。

 

他にも、英語特有のすぐ代名詞に変えて言うとか、その際、男・女、単数・複数に常にこだわらなければ

ならないというルールが、一見単純に見えるこの練習を、初心者にも、理屈が十分にわかっている実力

ある人にも、もしかして苦痛で退屈なものに思わせるかもしれません。しかし、やりだすときっと、ゲームの

ような楽しさ、何よりも自分が英語をスラスラ言えている、という快感がきっと湧き上がってくるはずです。

 

 

自問自答にしろ、オウム返しありの対話にしろ、⑨英文から瞬時に疑問文を作る練習は会話には必須です。

 

それと共に重要なのは、⑩言い換え(paraphraseです。単語の英語による定義付け(definition)や説明(explanation)はいくらやってもやりすぎはありません。英英辞典を見てもいいですが、自分で考えてみることに意義があります。英単語を英語で理解していくのです。

 

元々語彙の多い人は、この際知っている単語を片っぱしから英語にしてみるのはどうでしょう。英語脳が鍛えられます。むずかしいけれども他にはない楽しさがあります。頭に英語に変換された単語がたくさんあれば、脳が英語に反応する幅も増え速度も飛躍的に伸びます。こうなると、やはり語彙の多い人の方が断然有利だということです。できれば、そのparaphrase の成果を上級者やネイテイブにチェックしてもらうことが望ましいでしょう。

とにかく数多く折につけ、この言い換えparaphrase の練習をすることが、「英語で考える」を発展させるのです。(注4)

 

注4:

Paraphraseの上級者になると、さらに、英文の書き換え、(全体の意味を変えず、単語を類義

synonymに置換えたり、構文sentence structureを変えたり、態voiceを能動態から受動態

にしたりする。)や要約summing upもします。英文和訳や和文英訳ではなく、このようなこと

ができれば、まさに「本当の英語力」と言えるでしょう。

 

これは、論文を書くときには欠かせないスキルでもあります。本格的な留学などをめざす人は、

一般英会話クラスとは別に、上記の集中的な練習をしたり、論文を書くための様々なwriting

のスキルを学ぶ必要があります。ぜひ留学準備(Academic English)クラスをお勧めします。

 

以上、「英語で考える」ための具体的な学習方法をお話しました。ポイントだけもう一度、おさらいしましょう。これらは必ずしも順番どおりの必要はなく、前後したり並行したりして繰り返し行うことが効果的です。

 

①苦手な面の重点的学習(文法や語彙力など)・・・②からでも良い。

②簡単な単語や短い文の英語が口からすぐ出るようにする練習

③身の回りにあるものや自分の毎日の動作・行動を英語で言う練習

(心の中で)英語の独り言を習慣にする

⑤信頼できる難しくない英文をたくさん読む

⑥文を、日本語に訳す余裕がない程度の速読で、文頭から、意味のまとまりごとに理解する

⑦自問自答の訓練

⑧相手の言ったことを(心の中でだけでも)オウム返しして英文のまま頭に取り込む

⑨英文から瞬時に疑問文を作る練習

⑩言い換え(paraphrase)の練習

 

とにかく、英語を英語のイメージ(概念)でたくさん脳に取り込み、英語に反応して英語が浮かぶような脳をきたえ、浮かんだ英語を必要に応じて別の英語に変換して、意味のある事柄を紡いでいくこと、編んでいくこと、これが「英語で考える」ということです。

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